お知らせ
2026年08月22日
国指定天然記念物ダイトウオオコウモリの飼育下繁殖に成功~大東諸島からつながる25年以上の救護・保全ネットワークが結んだ新たな命~
公益財団法人沖縄こどもの国は、このたびダイトウオオコウモリの飼育下繁殖に成功しました。ダイトウオオコウモリは南大東島および北大東島にのみ生息する希少な固有亜種であり、国の天然記念物および国内希少野生動植物種に指定されています。沖縄こどもの国では2024年に世界で初めてダイトウオオコウモリの飼育下繁殖及び育成に成功しました。今回の繁殖成功はそれに続く2例目の事例となります。
さらに今回は、これまで記録例のなかった出産の瞬間を映像として記録することにも成功しました。飼育下においてダイトウオオコウモリの出産シーンが映像として記録されたのは世界初の事例となります。
また、公益財団法人JAC環境動物保護財団の助成事業「大東諸島における希少野生動物保護と普及活動の推進」の一環として、ダイトウオオコウモリの飼育施設を整備し、本種の展示を開始しました。これにより、繁殖・飼育技術の向上を通じた絶滅危惧種の保全だけでなく、来園者へその生態や保護の重要性を広く伝える環境が整いました。
今回の繁殖は、関係機関による傷病個体の救護を出発点として、野生復帰が困難となった個体を沖縄こどもの国が受け入れ、長期的な飼育管理と繁殖技術の蓄積を重ねたことにより実現したものです。
救護から飼育下繁殖に至る経緯
(1)傷病個体の救護
今回の親個体は、いずれも南大東島で傷病個体として保護され、関係機関の連携により搬送及び治療が行われた個体です。
① 南大東島において島民および南大東村教育委員会が傷病個体を保護
② 沖縄県自然保護課とJTA・RACとの連携協定を活用し、航空搬送を実施
③ RACによる迅速な輸送協力
④ 沖縄県、環境省、NPO関係者による連携搬送
⑤ NPO法人どうぶつたちの病院沖縄や沖縄県内の野生動物救護獣医師による治療
傷病鳥獣救護は、傷病個体の治療と野生復帰を目標として実施されたものです。その後、外傷等により飛翔が困難で、野生復帰ができないと判断された個体が、終生飼育を前提として沖縄こどもの国へ移送されました。
(2)救護個体の飼育及び飼育下繁殖
沖縄こどもの国では、野生復帰が困難と判断された個体を受け入れ、それぞれの身体状況に配慮した飼育環境の整備、栄養管理、健康管理等を継続してきました。
① 治療終了後、野生復帰が困難と判断された個体を沖縄こどもの国が受け入れ、継続的な飼育及び健康管理を実施
② 本種の保全を目的として、ペアリングを実施
③ 公益財団法人JAC環境動物保護財団の助成によりダイトウオオコウモリ飼育施設を整備
④ 飼育下繁殖に成功するとともに、ダイトウオオコウモリの展示を開始
関係機関
・環境省沖縄奄美自然環境事務所
・沖縄県自然保護課
・南大東村教育委員会
・北大東村教育委員会
・日本トランスオーシャン航空(JTA)
・琉球エアーコミューター(RAC)
・公益財団法人 JAC環境動物保護財団
・NPO法人どうぶつたちの病院 沖縄
・琉球大学 動物生態学研究室
・公益財団法人 沖縄こどもの国
今回の繁殖成功の意義
大東諸島ではこれまで、多くの野生動物の保護・治療・野生復帰が行われてきました。島民の皆様をはじめ、治療機関、行政機関、航空会社、研究者、動物園が連携して救護活動を行い、関係機関による連携ネットワークが希少種保全の重要な基盤となっています。
今回の繁殖成功は、沖縄こどもの国における飼育・繁殖技術の成果であると同時に、長年にわたり救護に携わってきたNPO法人どうぶつたちの病院沖縄をはじめとした救護ネットワークや搬送体制の構築、さらに公益財団法人JAC環境動物保護財団の助成による飼育施設整備など、関係機関の長年にわたる協力の成果でもあります。また、飼育施設の整備により、ダイトウオオコウモリを継続的に展示できる環境が整い、本種の生態や大東諸島の自然環境、保全の重要性を広く発信できるようになりました。今回の繁殖成功と展示開始を契機として、大東諸島の貴重な自然環境とダイトウオオコウモリの保全の重要性を広く発信し、生息地の保全につながる取組を関係機関とともに推進してまいります。
<公益財団法人沖縄こどもの国 財団概要>
財団名:公益財団法人 沖縄こどもの国
所在地:〒904-0021 沖縄県沖縄市胡屋5丁目7番1号
設立:1970年(昭和45年)5月 公益財団法人認定:2012年(平成24年)4月
楽しみながら学べる!体験できる!沖縄こどもの国。身近な琉球列島の生き物をはじめとし、日本や世界の野生動物約150種類を展示する動物園と、チルドレンズミュージアムであるワンダーミュージアムとの複合体験施設です。動物の生態や命の大切さ、沖縄の自然環境について学ぶ場として、飼育下繁殖、調査研究、希少野生動物の保全活動にも取り組んでいます。また、関係機関と連携しながら、傷病野生動物の救護や希少種の保全、生息地保全につながる普及啓発活動を推進しています。
HP:https://www.okzm.jp/
<NPO法人どうぶつたちの病院 沖縄 概要>
法人名:NPO法人どうぶつたちの病院 沖縄
所在地:沖縄県うるま市前原308-7-205
設 立:2004年8月
活 動:琉球弧に生息する固有種や希少野生動物を保護するために設立された。交通事故をはじめ人間活動が原因で傷ついたヤンバルクイナやイリオモテヤマネコ、ノグチゲラ、ケナガネズミ、ダイトウオオコウモリなどの救護活動やヤンバルクイナなどの絶滅危惧種の飼育下繁殖の活動、また、マングースやペット由来のネコなど絶滅危惧種を捕食してしまう外来種対策やペットの適正飼育の普及啓発活動などを行っている。
HP: https://www.yanbarukuina.jp/
<JAC環境動物保護財団 財団概要>
財団名:公益財団法人 JAC環境動物保護財団
英名:JAC Environmental & Animal Protection Foundation
所在地:〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-105番地 神保町三井ビルディング14階
設立:2022年3 月1 日
目的:動物保護とそれに伴う自然環境保護を行う団体への助成を通じて、人と動物の共存ひいては自然環境の持続可能性に寄与すること、並びにその啓蒙に努めることで日本における動物および自然環境の保護に対する意識の向上に寄与すること、又その取り組みを世界に発信していくことを目的とする。
事業:1.動物や自然環境の保護活動を行う団体への助成
2.動物や自然環境の保護を促進するための啓蒙活動
HP:https://jac-foundation.org/

