こどもの国日誌

2021/9/9
ワンダーミュージアム

第19話:おばけナイトミュージアム⑤おばけナイトミュージアムについて[ワンダーミュージアムをつたえるためのコラム]

こんにちは。沖縄こどもの国でワンダーミュージアムを担当している鈴木です。現在ワンダーミュージアムではリニューアルに向けた計画づくりが進められています。これまでの17年間の積み重ねと未来可能性を混ぜ合わせてパワーアップしていくことを目指すリニューアル。そのためには何が大事で何が必要なのかを議論し検討しています。実はその中でご指摘いただくのが「良いことをやっているかもしれないけど伝わってない」ということ。暗黙知のままではいけない。言語化していかないと伝わらない。17年間走り続けてきたなかでワンダーミュージアムが大事にしてきたこと、これからも大事にしていきたいことなどを連載でお伝えしています。



いつのまにかワンダーミュージアムの夏の風物詩といわれるまでになった「おばけナイトミュージアム」。2011年にスタートしたので今年でなんと10年目。本来であれば夏休みに開催するのですが今年は緊急事態宣言の期間と重なりとうとう開催できずに夏が終わってしまいました。コロナ渦で様々な制限の中で試行錯誤を続けていますが、改めておばけナイトミュージアムはこれからどうしていくべきなのかということを考えています。私たちが大切にしているおばけナイトミュージアムは人手と手間と時間がかかります。でもそれ以上に大切なこともたくさん詰まっています。ただのお化け屋敷とはちがうからこその苦労と魅力。リニューアルをきっかけに様々な事業のスクラップアンドビルドが検討されているなかでおばけナイトミュージアムが今後どうなっていくのかまだわかりませんが、どちらにせよこれまでやってきたことや大事にしてきたことをちゃんと言葉にして残しておくことは大切なことだと思ってます。ということでおばけナイトミュージアムのお話も一話には収まりそうにないので、ちょっと気合を入れて5回にわけてお話しをさせていただきます。①おばけナイトミュージアムのはじまりについて。②おばけせいさくじょについて。③おばけせいさくについて。④おばけナイトセレモニーについて。⑤おばけナイトミュージアムについて。ここで大人の皆さんにお願いがあります。この企画はこどもたちの想像から広がる世界観を大切にしたいので、ここで書かれたことは大人の皆さんの胸のうちに留めていただきたいのです。何卒よろしくお願いいたします。

第19話:おばけナイトミュージアム⑤おばけナイトミュージアムについて

いよいよ5回シリーズの最終回です。おばけナイトミュージアムはおばけのためのミュージアム。いつものワンダーミュージアムを終えてわずか30分の間にガラッと雰囲気を変えて夏の夜に開館します。館内は薄暗くBGMもおばけ好みのもの、黒い布が至る所に現れ温度もヒンヤリ冷たく感じるほどです。


おばけのためのミュージアムですから、おばけに安心して楽しんでもらうために人間のお客様にはおばけに変身していただいています。変身用に配布するのは目玉シール。誰でも簡単におばけに変身できるアイテムです。目玉シールでこどもだけでなく大人もみんなおばけに変身。おばけに変身したらそれぞれ顔を見合せたり写真を撮ったり、入る前から楽しい雰囲気があふれています。おばけに変身したらおばけの仲間。おばけは友達。もうこわくない。目玉シールはワクワクを高めるだけでなく実はおばけへの恐怖心を和らげるアイテムにもなります。


そしてもうひとつお配りしているのがおばけ新聞。おばけナイトミュージアムは長いときには一時間ほど並んでお待ちいただくこともあります。そんな待ち時間を楽しんでもらうためのおばけ新聞には、おばけの名前、おばけになった理由、おばけの口癖、おばけの好きなこと苦手なことが書かれています。おばけが持つメッセージが届きますように。おばけ新聞にはそんな思いも込められています。


そんななか長い時間待ったにもかかわらず入る直前になって「やっぱりやめる」とギブアップする子もいます。一方で悩んだ末に覚悟を決めて入って行き「大丈夫だった」と満面の笑みを見せて帰っていく子もいます。入口と出口で繰り広げられる様々なドラマ。入る・入らないでもめている親子には「想像力が豊かな子ほどこわくなってしまうようです。感性が豊かなお子さんですね。」と保護者の方にそっとお声をかけさせていただく場合もあります。そして嬉しいことにギブアップした子が翌年リベンジのために再訪してくれることも。はじめてのおばけ屋敷がワンダーミュージアムのおばけナイトミュージアムという子が多くいる中で未知なるおばけの世界に入り込むドキドキ体験をそれぞれのペースやタイミングを大切に楽しんでもらえるといいなと思っています。


おばけファーストのおばけナイトミュージアムの中はわずかな灯りしかない暗闇の世界。目玉シールでおばけに変身した人間はその暗闇の世界を進んでいきます。そこはこどもたちの想像が生み出した不思議な世界。夢のような現実のようなその世界は訪れる人の想像力と合わさりさらに不思議で奇妙な世界となります。実際にはわずか数分の体験がもっともっと長く感じるようなそんな錯覚さえ覚えることもあります。楽しかったー!こわかったー!おもしろかったー!また入りたーい!もうイヤだー。そんなふうに出口での開口一番は本当にそれぞれ。こどもたちの夏休みの思い出がまたひとつ増えた、そんな瞬間です。


おばけナイトミュージアムの出口で再度目玉シールをお配りしています。夏の思い出の余韻を楽しんでいただくためのお土産でもあり、いつでもおばけに変身できるおばけに会えるアイテムでもあります。おばけせいさくじょからはじまったおばけナイトミュージアムは実はおばけせいさくじょだった。入ったらみんなおばけになってしまう。実はそんな企みがあるとか…ないとか…。そこはご想像にお任せします。

最後に嬉しかったエピソードをひとつだけ。夏休みが終わった二学期の初日。通学路でたまたま見かけた小学生がちらっと帽子を上げた瞬間、そのおでこにあの目玉シールがあったのです。おばけに変身してこの子は学校でどんなおばけに会うことができたんだろう。おそらくこれはほんの一例で夏休みの経験がこどもたちの新たなクリエイティブにつながっていくことを感じた出来事ですごくうれしい気持ちになりました。理解と創造は驚きに始まる。ワンダーミュージアムで大切にしているコンセプトはおばけナイトミュージアムにもつながっています。


さて、今回5話にわたりご紹介してきたおばけナイトミュージアム。2021年夏は「おばけナイトミュージアム」はできませんでしたが、実は…!2021年秋に「おばけミュージアム~おばけせいぞうポストの世界へようこそ~」という特別展をワンダーミュージアムで開催する予定です。おばけせいさくしょでそうぞうポストに投函されたおばけたちがおばけになるまでを追った企画展。コロナ渦の今、限られた状況の中でできることをかき集めて開催する特別展で、新たな挑戦でもあります。これまでのおばけナイトミュージアムとは異なりますが込めた思いは同じ。長引く緊急事態宣言で開始時期は未定ですが閉館中のワンダーミュージアムでこつこつ準備を進めています。どうぞお楽しみに。

過去のコラムは以下でご覧いただけます。
https://www.okzm.jp/diary/wonder/