こどもの国日誌

2021/8/8
ワンダーミュージアム

第17話:おばけナイトミュージアム③おばけせいさくについて[ワンダーミュージアムをつたえるためのコラム]

こんにちは。沖縄こどもの国でワンダーミュージアムを担当している鈴木です。現在ワンダーミュージアムではリニューアルに向けた計画づくりが進められています。これまでの17年間の積み重ねと未来可能性を混ぜ合わせてパワーアップしていくことを目指すリニューアル。そのためには何が大事で何が必要なのかを議論し検討しています。実はその中でご指摘いただくのが「良いことをやっているかもしれないけど伝わってない」ということ。暗黙知のままではいけない。言語化していかないと伝わらない。17年間走り続けてきたなかでワンダーミュージアムが大事にしてきたこと、これからも大事にしていきたいことなどを連載でお伝えしています。



第17話:おばけナイトミュージアム③おばけせいさくについて

いつのまにかワンダーミュージアムの夏の風物詩といわれるまでになった「おばけナイトミュージアム」。2011年にスタートしたので今年でなんと10年目。本来であれば夏休みのはじまる7月後半からスタートするはずでしたがそれもかなわず。コロナ渦で様々な制限の中で試行錯誤を続けていますが、改めておばけナイトミュージアムはこれからどうしていくべきなのかということを考えています。私たちが大切にしているおばけナイトミュージアムは人手と手間と時間がかかります。でもそれ以上に大切なこともたくさん詰まっています。ただのお化け屋敷とはちがうからこその苦労と魅力。リニューアルをきっかけに様々な事業のスクラップアンドビルドが検討されているなかでおばけナイトミュージアムが今後どうなっていくのかまだわかりませんが、どちらにせよこれまでやってきたことや大事にしてきたことをちゃんと言葉にして残しておくことは大切なことだと思ってます。ということでおばけナイトミュージアムのお話も一話には収まりそうにないので、ちょっと気合を入れて5回にわけてお話しをさせていただきます。①おばけナイトミュージアムのはじまりについて。②おばけせいさくじょについて。③おばけせいさくについて。④おばけナイトセレモニーについて。⑤おばけナイトミュージアムについて。ここで大人の皆さんにお願いがあります。この企画はこどもたちの想像から広がる世界観を大切にしたいので、ここで書かれたことは大人の皆さんの胸のうちに留めていただきたいのです。何卒よろしくお願いいたします。

さて今回は③おばけせいさくについて。

おばけせいさくじょでそうぞうポストに入った瞬間、おばけの世界とのトンネルのような謎めいたそのポストの中でおばけたちはおばけナイトミュージアムに遊びに行ける日を楽しみに待っています。これは表向きなお話し。



その裏でワンダーミュージアムのインハウス工房が動き出します。まずはそうぞうポストにいるおばけたちとの出会いから。こどもたちの思いの詰まったおばけたちを受け取る責任を感じながらおばけせいぞう用紙にかかれた内容を何度も何度も見ます。そしてこどもたちのフィルターを通ってきた社会を映し出すようなおばけたちをどんなふうに世の中に届けたらいいのか考えます。

つづくおばけの衣装づくり。おばけたちはこの世では透明。だから気配でその存在を知らせてくれるのです。でも透明だとせっかくおばけナイトミュージアムに来ても遊べない。そんなおばけたちの透明な体を包むための衣装づくり。衣装はこどもたちが描いたおばけせいぞう用紙を手掛かりに制作をしていきます。さらにおばけが安心して遊べるようおばけ好みの空間の準備をします。この時期になるとワンダーミュージアムのいたるところに黒いカーテンが設置されているのはこのためです。さまざまな大道具や小道具も準備します。大事なポイントはいつものワンダーミュージアムから土曜の夜だけのおばけナイトミュージアムにすぐに設えを変えられるようにすること。夏休みの土曜は通常のワンダーミュージアムは17:00に閉館し、おばけナイトミュージアムは17:30に開館します。この間わずか30分。そのわずかな時間でガラリとおばけ仕様の空間にかえていくのです。


私たちが大切にしていることのひとつにそうぞうポストにあつまったすべてのおばけたちがおばけナイトミュージアムに来てもらえるようにする、ということがあります。でも毎年そうぞうポストに集まるおばけたちは1000体ときには2000体ちかくもあります。個性あふれる多様なおばけたちに優劣をつけることなんてできない。でもあまりにも数が多い。ということでおばけたちがおばけナイトミュージアムに遊びに来る方法は大きく分けてふたつあります。リアル参加とデジタル参加。まるでコロナ渦を先取りしているような感じもありますね。衣装はリアルに参加するおばけたちのもの。デジタル参加のおばけたちのために実は映像クリエーターの方にも力を貸してもらっています。デジタル参加のおばけたちの場所は暗闇に光るまるでデジタルアートの世界。おばけが生まれ出る泉のようなドキドキ美しい世界が広がります。


最後の難関はおばけに生身を貸してくれる人間探し。長年こっそりと内部で進めていましたがとうとう生身の人間が足りなくなり数年前からは公募をしています。おばけにこの世で遊んでもらうにはインストールができる生身が必要。重ねてこどもたちから託されたおばけの想いを理解できる人であることはとても重要です。そんなおばけの身も心もしっかり受け止めてくれる生身の人間の力を借りておばけナイトミュージアムがようやくできあがります。

これらのことはすべてそうぞうポストのなかの不思議な世界でこっそり行われていること。こどもたちには秘密にしておきたいお話ですのでどうぞご理解ください。

さいごのさいごに。今回はじめておばけナイトミュージアムの裏側、おばけ制作について書かせていただきました。が、今コロナ渦による様々な制限の中で大切にしてきたことをいくつかあきらめざるを得ない状況があります。こうして書き留めているのは、あきらめざるを得ない今の状況がこれからの当たり前になってほしくない、という切なる思い。一方であきらめざるを得ないことがあったとしても大切なことを大切にするための方法を探りつづけることをあきらめてほしくないという願い。今後を担う仲間たちの今後の新たな試行錯誤のためのなにかの手がかりになるといいなという想いも込めています。


過去のコラムは以下でご覧いただけます。
https://www.okzm.jp/diary/wonder/