こどもの国日誌

2021/6/14
ワンダーミュージアム

第12話:慰霊の日プログラムについて②未来を考える絵本たち[ワンダーミュージアムをつたえるためのコラム]

こんにちは。沖縄こどもの国でワンダーミュージアムを担当している鈴木です。現在ワンダーミュージアムではリニューアルに向けた計画づくりが進められています。これまでの17年間の積み重ねと未来可能性を混ぜ合わせてパワーアップしていくことを目指すリニューアル。そのためには何が大事で何が必要なのかを議論し検討しています。実はその中でご指摘いただくのが「良いことをやっているかもしれないけど伝わってない」ということ。暗黙知のままではいけない。言語化していかないと伝わらない。17年間走り続けてきたなかでワンダーミュージアムが大事にしてきたこと、これからも大事にしていきたいことなどを連載でお伝えしています。



第12話:慰霊の日プログラムについて②未来を考える絵本たち

6月23日は慰霊の日。コロナ感染対策のため去年も今年も思うように実施できていませんがワンダーミュージアムでは毎年慰霊の日のある6月に慰霊の日プログラムを行っています。沖縄戦から76年。人々の記憶と関心が薄れつつある今、平和について感じたり考えたりする機会をつくらないといけない、沖縄にあるミュージアムとして使命感にも似たような気持ちでプログラムを実施しています。さまざまな試行錯誤を重ねつついま開催していることは大きくわけて4つ。①平和のメッセージ(イベント)②未来を考える絵本たち(絵本展)③大型紅型/生命(いきる)展(特別展)④笑顔のたね(ワークショップ)。たくさんの人がどっと押し寄せるようなプログラムではありませんがそのひとつひとつが意味をもち大切に育んできたプログラムです。残していくためにも大切に丁寧に説明をしていきたいので今回は4回に分けて書いていきたいと思います。

ということで今回は②未来を考える絵本たち(絵本展)について。慰霊の日をきっかけに平和について未来について考えてほしい。慰霊の日当日のイベントではその時その場所に来たこどもたちに届けることしかできませんが、なるべく多くのこどもたちにそのきっかけをつくりたい。そんな想いを託したプログラムが「未来を考える絵本たち」です。毎年6月の約一ヵ月間ワンダーミュージアムの一角で開催をしている企画展。戦争や平和などをテーマにした絵本が並べられたその空間はこどもたちの歓声が響く体験スペースとはだいぶ雰囲気が異なりますが、いつもとは違うその雰囲気に興味を持ったこどもたちがふわっと気軽に立ち寄ってくれます。おそらくその敷居の低さこそがワンダーミュージアムの良さなのかもしれません。そして会場に来てくれたこどもたちは絵本の表紙をながめ、なんだかそのうちに気になる絵本を見つけ、気が付くと近くにある小さなかわいい椅子に座り、絵本を開くことで新たな世界や言葉に出合います。


必然の出会いは偶然の顔をしてやってくる

未来を考える絵本たちとこどもたちの出会いももしかしたら同じことかもしれません。こどもたちにとってはたまたまワンダーミュージアムに遊びに来てたまたま出会った絵本、それは偶然の出会いなのかもしれませんがその出会いはその子の未来に続いていく必然な出会いとなるかもしれません。その小さな種は大きな平和の木になっていく。私たちができることはきっかけをつくることぐらいしかできませんがそんなふうにここでの出会いが未来につながっていくといいなと思っています。


「未来を考える絵本たち」の絵本の選書の際には絵本を通した平和教育にご尽力されたくすぬち平和文化館(沖縄市)の眞榮城栄子先生にご協力をいただきました。栄子先生に特におすすめしていただいたのは日・中・韓の絵本作家が手をつないだ平和絵本シリーズ、そして何度か読み聞かせもしてくださった「つるちゃん」をはじめとした沖縄戦の絵本、平和について考える絵本を中心に、人権や憲法、命をテーマにしたものなどさまざまな絵本があります。知ることは時に苦しいこと。でも知らないと想像することもできない。想像することもできないと同じ過ちが繰り返されてしまうかもしれない。知るための絵本。想像するための絵本。未来を考えるために出会ってほしい絵本たち。


以下、絵本展の会場に添えられているワンダーミュージアムからのメッセージ。

1945年6月23日、もうすぐ慰霊の日。
知るということは、とても苦しいことでもあります。
でも今、たちどまって考えてみたいこと
戦後たくさんの想いがあつまってできた絵本たちがこちらにあります。
「過去」を知って感じて「未来」をかんがえる。
戦争は形を変えて今でもいろんなところでつづいてる。
知らなきゃいけないし、 考えなきゃいけない。
私たちの未来は誰のものでもない、私たちの想いや考えでつくられるものです。
おとなもこどももいっしょに
平和について考えるきっかけになればと思います。


最後に。
くすぬち平和文化館の眞榮城栄子先生が2019年にお亡くなりになった後、栄子先生が大事にしていた写真絵本「世界中のこどもたちが(ポプラ社)」を特別に譲っていただきました。すでに絶版となっている絵本で、ワンダーミュージアムにあることでたくさんの人に見てもらえるはずだから、と栄子先生の想いを継ぐくすぬち平和文化館の思いが託されて今私たちの手元にあります。コロナが収束したらぜひ皆さんにお届けをしたい。歌で知っているという方も多いかもしれませんがこの絵本の言葉でもある新沢としひこさんの詞を一部引用し紹介します。

世界中のこどもたちが
いちどに わらったら
空も わらうだろう
海も わらうだろう

世界中のこどもたちが
いちどに ないたら
空も なくだろう
海も なくだろう

ひろげよう
ぼくらの 夢を
とどけよう
ぼくらの 声を
さかせよう
ぼくらの花を
世界に にじをかけよう

過去のコラムは以下でご覧いただけます。
https://www.okzm.jp/diary/wonder/