こどもの国日誌

2021/6/5
ワンダーミュージアム

第11話:慰霊の日プログラムについて①平和へのメッセージ[ワンダーミュージアムをつたえるためのコラム]

こんにちは。沖縄こどもの国でワンダーミュージアムを担当している鈴木です。現在ワンダーミュージアムではリニューアルに向けた計画づくりが進められています。これまでの17年間の積み重ねと未来可能性を混ぜ合わせてパワーアップしていくことを目指すリニューアル。そのためには何が大事で何が必要なのかを議論し検討しています。実はその中でご指摘いただくのが「良いことをやっているかもしれないけど伝わってない」ということ。暗黙知のままではいけない。言語化していかないと伝わらない。17年間走り続けてきたなかでワンダーミュージアムが大事にしてきたこと、これからも大事にしていきたいことなどを連載でお伝えしています。


第11話:慰霊の日プログラムについて①平和へのメッセージ

6月23日は慰霊の日。コロナ感染対策のため去年も今年も思うように実施できていませんがワンダーミュージアムでは毎年慰霊の日のある6月に慰霊の日プログラムを行っています。沖縄戦から76年。人々の記憶と関心が薄れつつある今、平和について感じたり考えたりする機会をつくらないといけない、沖縄にあるミュージアムとして使命感にも似たような気持ちでプログラムを実施しています。さまざまな試行錯誤を重ねつついま開催していることは大きくわけて4つ。①平和のメッセージ(イベント)②未来を考える絵本たち(絵本展)③大型紅型/生命(いきる)展(特別展)④笑顔のたね(ワークショップ)。たくさんの人がどっと押し寄せるようなプログラムではありませんがそのひとつひとつが意味をもち大切に育んできたプログラムです。残していくためにも大切に丁寧に説明をしていきたいので今回は4回に分けて書いていきたいと思います。

まずは①平和のメッセージについて。平和のメッセージは6月23日の慰霊の日当日に行うイベントスタイルのプログラムです。場所はワンダーミュージアムの中央吹き抜け空間。このイベントを企画し司会進行を務めるのはミュージアムスタッフのヂャッキー。実はアーティストとして映像など様々な表現活動の中で平和や基地や人間について考えてきた人でもあります。そして生粋のウチナーンチュである彼女が話す言葉は沖縄独特のイントネーションが混ざりあってなんとも心地よくてそしてまっすぐであたたかい。そんなヂャッキーがイベントの冒頭に必ず読むのが平和と戦争を見つめる絵本「わたしのやめて(自由と平和のための京大有志の会著)」。絵本の最後のひと言がとても印象的です。

だからせんそうを はじめようとする ひとたちに
わたしは おおきなこえで 「やめて」 というんだ

そして正午の鐘とともに会場にいる全員で黙とうをして静かに平和への祈りをささげます。こどもたちが小さな手を合わせウートートーと祈りをささげるその姿は未来に続く希望そのもの。そのあとにワンダーミュージアムから平和のメッセージを届けます。

「平和のメッセージ」

1945年、今から76年前、ここ沖縄でも戦争がありました。
人間同士の争い、みんなに忘れてほしくない。
たくさんの強い思いが集まって沖縄県が定めた日、それが慰霊の日です。

今日の命は奇跡。

みんなは命がどこからきているか知ってる?
お父さん、お母さん、その前は、おじいちゃん、おばあちゃんと‥もっともっと遠い‥
みんなの命は遠い日の命と つながってきたんだよ。
戦争でたくさんの人の人生が消えていったけど ここにつづいている。
今日あるこの命の尊さを感じて、知る日でもあります。

命はなんのために生まれてきたのかな?
遠い国では 今もはいいろの空の下 さまよい逃げるひとたち。
武器を持ち戦うひとたち。にくしみがひろがっている。

平和ってなんだろうね?  
ご飯を食べたら 笑顔になるね。    
帰るお家があって ほっとするね。   
着ている洋服は 体を守ってくれるね。 
大切な人が横にいると 安心するね。  
武器も持たないでいい、人の人生も奪わない
自分の人生、命を生きることもできます。

本当の平和ってなんですか?その小さな種は大きな平和の木になる。
私たちの未来は誰のものでもない、私たちの思いや考えで創られるものです。

戦争は今でも世界のいろんなところで続いている。
大地が築いてきた自然や動物たちも命を落としてきた。
地球上すべての人や生き物たちの平和を願い
メッセージを込めて鳩が羽ばたきます。                     

このメッセージを読みあげた後、吹き抜け空間の上段から鳩の形のペーパークラフトを飛ばしゆっくりと飛来しこどもたちのいる場所に届きます。平和について考えることは未来について考えること。こどもたちにここで感じたことを今この瞬間だけでなく記憶の奥に焼き付けたい。そのためにはどうしたらよいだろうか。ということを考えてうまれた方法がこの鳩を飛ばしメッセージを届けるというスタイルです。そして鳩のペーパークラフトには平和の言葉がそれぞれついています。

<今日の「命」は奇跡 あなたと出会えてありがとう>
<「本当の平和ってなんですか?」その小さな種は平和の木になる>
<みんなの命は遠い日の命とつながっているんだよ>
<ひとりひとつ、生命の花を大切にしてください。>
<私たちの未来は誰のものでもない 私たちの想いや考えでつくられるものです>
<Peace begins with a smile 平和は微笑みから始まります。>
<わたしの生命の花を想うように、あなたにも同じ生命の花を思う>

回を重ねるごとに慰霊の日イベントを支持し毎年のように来てくださる方も少しずつ増えてきました。「小さな子と一緒に慰霊祭にいくのは大変だけどワンダーだと参加しやすい」「平和について考える機会を作ってくれてありがとうございます」そんなうれしい言葉を頂くこともあります。そして会場では集めた鳩を仲良く分け合うなど平和を体現するような子どもたちの姿に出会えることもあります。こどもたちはキラキラ光る希望の存在です。さらに新聞やテレビなど取材に来てくださるマスコミの方も増えてきました。関心が社会的にもどんどん広がっていきますように。


新型コロナ感染拡大防止のため昨年も今年も実施できていませんがコロナが収束したらぜひとも再開したい、そしてリニューアルの後もずっとこの場所で平和へのメッセージを届けていきたい。リニューアルで吹き抜けの空間をどのように活かしていくかという議論があります。引き続きこの場所で平和を願うプログラムを実施していくことができますように。そんな思いを込めたらこれまでにない長文になってしまいました。最後までお読みいただきありがとうございます。

過去のコラムは以下でご覧いただけます。
https://www.okzm.jp/diary/wonder/