こどもの国日誌

2021/4/9
ワンダーミュージアム

第5話:ワンダーミュージアムを伝えるために[ワンダーミュージアムをつたえるコラム]

こんにちは。沖縄こどもの国でワンダーミュージアムを担当している鈴木です。現在ワンダーミュージアムではリニューアルに向けた計画づくりが進められています。これまでの16年間の積み重ねと未来可能性を混ぜ合わせてパワーアップしていくことを目指すリニューアル。そのためには何が大切で何が必要なのかを議論し検討しています。実はその中でご指摘いただくのが「良いことをやっているかもしれないけど伝わってない」ということ。暗黙知のままではいけない。言語化していかないと伝わらない。16年間走り続けてきたなかでワンダーミュージアムが大切にしてきたこと、これからも大切にしていきたいことなどを連載でお伝えしています。どうぞよろしくお願いします。



5話.ワンダーミュージアムを伝えるために

ワンダーミュージアムを伝えるためにはじめた今回のコラム。これまでも伝える努力をしてきましたが、わからない、伝わっていないとのご指摘をいただくということはまだまだ十分ではないということ。伝えるって本当に難しいなと思います。懸念しているのは伝わらず理解されないままでいると思いもよらない解釈で違う枠に収められてしまう可能性があるということ。特にリニューアルに向けて様々な価値観を持つ方々が関わる今、ワンダーミュージアムは誰のための何のためのどういう場所であるかということを明確に示す必要があると感じています。固定概念という枠がなかったからこそ生みだせた価値をどうつないでいくのか。

ワンダーミュージアムでお配りしている小さなパンフレットに記した言葉。大切にしている想いと言葉なのでご紹介します。

ワンダーミュージアムは、「理解と創造は驚きに始まる」というコンセプトのもと、こどもたちの可能性を信じ、こどもたちが自ら不思議や驚きを見つけることができる沖縄初・沖縄唯一のチルドレンズ・ミュージアムです。実際に触れて体験することができるハンズオン展示と、感じること考えることを大切に育むワークショップを体験することができます。ワンダーミュージアムは、こどもたちの力を信じ、見守り、育む、企画やプログラムを常に考え、進化し続けています。
すべての興味は驚きから始まり、そしてその驚きがもっと知りたいという感情を刺激し、その結果、理解が促され、想像する感性を育み、創る喜びを知ることができます。ワンダーミュージアムのワークショップは、感じること、そして考えることを大事に育みながら、そのとき、そのときのゆるやかで、しなやかで、まっすぐで、あたたかいコミュニティで共有され、深まり広がっていきます。

そして令和元年、ワンダーミュージアム15周年の節目にコンセプトブックOUR WONDERを制作しました。そこでも大切にしている想いを言葉でまとめたのでご紹介します。

理解と創造がはじまる驚き。それは、個々に、その都度別々のあり方で訪れます。それは時にとても静かに。時にお祭りのように。物に触れる。何気ない会話をする。材料や道具を眺める。一歩踏み出してみる。ワンダーミュージアムにはそんな小さくて(でも大きな)きっかけがたくさんあります。驚きを通した、わかりたい!つくりたい!という気持ちは、身の回りの世界に主体的に関わるという態度そのものを育みます。こどもたちはきっと、何よりもそんな自分の広がる可能性に驚いているかもしれません。
伝えたい。挑戦したい。喜び合いたい。驚きは、いろいろな心の動きを生むスイッチになります。そのスイッチは、わたしたち大人も一緒に驚きを分かち合うことで、よりよく動きます。お客様とスタッフ。教わる人と教える人。一緒に驚きあう時間の中では、そのような関係性を超えた、ちょっと不思議な連帯感も生まれます。こどもたちを、まず一人一人の人格を持った個人として向き合うこと。そのようなまなざしこそが広がり、深まること。ワンダーミュージアムではそんな日々の営みを積み重ねています。
驚きは、遊びのようで学びのようで、当り前のようで、ふしぎのようで、かけがえのないもの。驚きは、始まりのしるし。驚きは、これからのための原点。沖縄こどもの国が掲げる「人をつくり・環境をつくり・沖縄の未来をつくる」という理念。ワンダーミュージアムは、それを実現するためのひとつの拠点です。こどもを大切に。大切にすべきことを大切に。驚くということは、自分を、周りを、信じぬくということかもしれません。それこそが、未来を切り拓いていくための原動力になるはずです。

OURWONDERはこちらからご覧いただけます。https://www.okzm.jp/info/wonder/entry-1250.html


変わりゆく時代の中にあっても大切にしてきたことをこれからも大切にしていきたい。でもそれはひとつの考えに固執するためではなく、軸をつくるため。軸があることで変化に対応しクリエイティブに創造していくことができると思うのです。

そんなことを考えていた時に前・旭山動物園園長、小菅正夫さんの言葉に出会いました。(前・旭山動物園園長 小菅正夫 マネジメントは動物園に学べ(NHK仕事学のすすめ2011年発行)より

ぶれない軸が強烈な個性となる。

ぶれない軸を作る。そのために思考を言語化する。言語化したことで伝える。伝えることで共感を広げる。初めての試みでのこの連載も5回目となりました。言語化への力不足を感じつつもできる限り続けていければと思っています。そしてワンダーミュージアムが深まり広がっていくことを願っています。


過去のコラムは以下でご覧いただけます。
https://www.okzm.jp/diary/wonder/